
安全後進国-。旅客船「セウォル号」沈没事故以後、韓国の新聞大手、朝鮮日報(電子版)には連日、こう題した記事が掲載された。安全を軽視した対応が、社会のあらゆる場面で起きていることを記しているのだが、それは大事故を教訓にして自らを省み、社会の安全を高め発展していく文明社会の歩みとも受け取れる。ただ、セウォル号沈没事故以後、安全軽視の事故は枚挙にいとまがない。「拙速でも自分が優先に」という文化を変えるのは、やはり相当難しい。
■大事故が起きても、安全管理を怠る
今年5月28日午前0時半ごろ、韓国南西部の全羅南道長城郡の高齢者向け療養型病院で火災が発生した。火は約30分後に消し止められたが、認知症患者ら21人が死亡し、8人が重軽傷を負った。地元警察は、入院していた認知症の男性患者(81)を放火容疑で拘束したが、病院側の管理体制に問題がなかったかも調べている。
この火災が起こる2日前の26日には、ソウル郊外のバスターミナルビルで8人が死亡する火災が起きた。中央日報(電子版)によると、当時、地下1階のフードコート店舗をリフォーム中で、溶接工の男性がガス管を連結するため溶接機に火をつけ、ガス管に近づけた瞬間、火が天井に上がり、燃え移ったという。原因はガスの安全バルブを閉めずに作業したためだ。素人でも分かるようなミスを犯していた。
耳を疑うようなお粗末な事故はこれだけではない。
5月8日には、京畿道富川市内の首都圏電車の路線で、信号故障の影響で急行列車が300メートルも“逆走”した。黄海では、国際旅客船が2つのエンジンのうち1つで故障を起こした。この旅客線も増改築しているとされる。
いずれもセウォル号事故後に起きた、安全軽視とみられる事案だが、その最たる例が、5月2日午後にソウル市内の地下鉄2号線上往十里駅で起きた停車中の列車に後続の列車が追突した事故だ。2両が脱線し約240人が負傷した。
事故では、複数の関係者が「いつも起きるエラー」「大丈夫だろう」と過信し、事故を予見させる兆候を見過ごしていた。
■危険の状態化…事故の芽をやりすごす関係者
中央日報や朝鮮日報(電子版)によると、事故当日に地下鉄の運行状況などをみる信号機械室にいた職員が信号異常を確認していたが、「いつもある異常」として措置を怠った。さらに、事故列車の前方の電車はドアの開閉が正常に行えず、運行に1分30秒の遅れが生じたが、総合管制所に報告義務があるにもかかわらず、これを伝えなかった。
自動列車停止装置(ATS)が正常に作動していれば、赤信号に対し5秒以内に停止しないと列車は強制的に減速され停車するが、運転士たちは日常的にこのスイッチを切って運行していた。
中央日報によると、路線には新型の自動列車運転装置(ATO)も備えていたのだが、ATSとの混合使用で、それぞれの使う周波数の間に混線ができ、たびたち誤作動が発生。これが「安全弁」をオフするという怠慢へとつながった。
さらに、朝鮮日報によると、事故発生の約14時間前の前日の運行終了後に、信号機械室のモニターに列車の走行を知らせるサインが出ていたため、担当者はすぐに上司に伝えた。しかし上司は「よくあるエラー」と無視したという。
事故を予見させる「事故の芽」はいくつもあった。しかし、ほぼ全員がみすみす見逃していた。
■危険の中に埋もれて暮らす
朝鮮日報による「安全後進国」では、さまざまな事例が紹介されている。
例えば、非常口にはカギがかけられ、防火シャッターが下りる場所には店舗がある映画館。さらに、鮮魚を運ぶために、猛スピードで構わず自動車専用道路を疾走するバイク便。また、補強・補修工事をせず、床や壁に明らかなヒビが入り、生徒が走るといまにも崩れそうなソウル市内の小中学校。いずれも日常の中に埋もれがちだが、大事故と隣り合わせの事象ばかりだ。危険の中で暮らしているといっても過言ではない。
中央日報は社説で、現状の韓国社会を「高度危険社会」と表現し、「安全という言葉自体をハナから念頭に置かない無感覚が支配する社会」と説明している。さらにセウォル号の事故から教訓を得られなかったとし、こう指摘している。
「『いい加減で急がす文化』からのみ弁解の理由を探すには、韓国社会の危険度は高すぎる。一歩足を踏み出すことさえ不安な状況だ」
日本でも安全意識の欠如や、「事故の芽」という失敗事例を生かすことなく、大事故に至ったケースはある。平成17年に兵庫県尼崎市で起き、乗客106人が亡くなったJR福知山線脱線事故もその一例だ。事故は、JR西日本の安全に関する企業体質の欠如も問うことになった。
もちろん、「安全後進国」で挙げられたケースの中に、日本でも思い当たる事案がないわけでもない。失敗をいかに糧にするのか。社会の成熟度はそこにかかっている。
(CNN) 米中央情報局(CIA)は8日までに、短文投稿サイト「ツイッター」と交流サイト「フェイスブック」に公式アカウントを設け、今後はより積極的な情報発信を図る姿勢を明らかにした。
ツイッターには6日に初めて書き込み、「これが我々の最初のつぶやきなのか確認も否定も出来ない」とスパイ機関らしいユーモアもにじませた。このメッセージは話題を呼び、2時間内のリツイート数は8万5000件以上で、フォロワー数は10万5000人以上となった。
フェイスブックでの発信も6日から始めた。
CIAのブレナン長官は声明で、ツイッターなどでの発信開始に触れ、国民と直接交流でき、CIAの使命や歴史などの情報を提供出来る機会になると歓迎。CIAに関する機密扱いでない情報がより入手しやすいことを国民に示したいなどと語った。
CIAは今後、ツイッターなどで最新ニュース、声明、求人情報、「CIA博物館」の収蔵物、「世界各国便覧」の最新版や機密扱いでない諜報(ちょうほう)も紹介すると約束した。
CIAは公式サイトを運営している他、動画サイト「ユーチューブ」と画像共有サイト「フリッカー」ではアカウントを既に開設している。
米情報機関や捜査機関などでは、米国家安全保障局(NSA)が2009年、米連邦捜査局(FBI)が08年にツイッターに登場。米国務省は07年に利用を開始していた。
■ノートの細部までこだわり
中学・高校時代、誰もが一度は手にしたことのあるコクヨの「キャンパスノート」。その生産拠点のコクヨ工業滋賀(KPS)が滋賀県愛荘町にある。キャンパスノート誕生から来年で40年を迎えるのを前に5月、一般向けの工場見学コースが開設された。さっそく見学に参加してみると、作り出されるノート一冊一冊の細部に宿るこだわりが見えてきた。(文・小川勝也)
◆富士山100個分
琵琶湖の東部、名神高速・湖東三山スマートICのすぐそばにあるKPSの敷地は、甲子園3つ分の広さ。まずは、コクヨの歴史や工場の概要を映像などで“予習”する。
明治38年、創業者の黒田善太郎が大福帳の表紙作りを手がけたことから事業が始まった。富山県生まれの黒田が「故郷の誉れに」との思いで社名を「国誉」と命名。従業員には、買い手の気持ちを一番に考えた商売を徹底させた。
KPSは昭和47年、配送センターとして開設され、55年にノート製造などを開始。現在は、年間1億冊を生産する国内最大級のノート工場に。1億冊を積み上げると、富士山100個分の高さに達するそうだ。
予習を終え、工場の内部へ。カラフルなキャンパスノートがデザインされた扉を開けると、ノート製造機の轟音(ごうおん)とインクの匂い。
「製造機1台で一日5万冊のノートが作られるんです」。製造機の大きな音で会話ができないため、イヤホンを通じてアテンダント(説明役)の解説を聞く。
直径1・2メートルで伸ばすと9キロメートルになるという原紙のロールが、全長30メートルの製造機にセットされる。裁断から罫線(けいせん)の印刷、表裏の表紙の装丁まで、1分でB5判ノート120冊が完成する。
壁際には赤、青、黄の大きな筒が並ぶ。ハチの巣のようだが、これがさまざまな罫線を印刷するための「版」で、取り出して製造機にセットすると用途にあった罫線が印刷される。一角では、完成したノートを「5色パック」にする作業も進められていた。
工場内をみて歩くと、あちこちで頭上からミストが出ているのに気付いた。
「紙はデリケートなので乾燥しないよう、湿度管理をしているんです。ノートは生き物なんですよ」
◆しみ1ミリさえ
製造工程を見たあとは体験コーナーへ。まずは完成したノートの品質チェックを体験する。罫線のゆがみや背クロスのずれなどがないかどうか目をこらす。
「さてこれは?」。アテンダントが示したノートをチェックする。表紙はきれいだし、中紙や背クロスも問題ない。「良品です!」と自信満々に答えると、「ここにインク飛びがあるので、不良品ですね!」。言われてみるとしみのようなものがある。1ミリにも満たない微小な粒なのに…。
続いては装丁の強度チェック。ノートの中紙1枚だけを留め具で挟んでぶら下げ、他のページに重りをつるしていく。10キロ、12キロと増やしても中紙が破れる気配はない。20キロでついに破れたが、背クロスののり付けはしっかりしたまま。
「16キロの負荷に耐えるよう作っています」。単にのり付けを強くすると、ノートが開きづらくなる。「強度」と「開きやすさ」の絶妙なバランスが求められるのだとか。思わず感心…。
◆ヨシを原料に
地域密着型の経営を心がけるKPSでは、琵琶湖岸に生えるヨシの刈り取りをボランティアで行っている。枯れたヨシは湖の水質悪化や汚染にもつながる。このヨシを原料にしたノートも生産し、お土産として購入することもできる。
普段の仕事の必需品でもあるノート。作り手の配慮とこだわりに、何気なく使ってきたことが申し訳なく思えてきた。生産管理グループの尾本裕一課長(42)は「たかがノート、されどノート。使ってくれる人が、ボールペンでも万年筆でも鉛筆でも、気持ちよく書き込めるよう、品質の向上を続けていきたいですね」と話していた。
■コクヨ工業滋賀 滋賀県愛荘町上蚊野312。名神高速・湖東三山スマートICから車で2分。キャンパスノートをはじめ複写伝票やコピー用紙の製造も手がける。工場見学は予約制で月2回開催。所要時間は90分。1回の定員は25人。参加費100円(小学生以下無料)は琵琶湖の環境保全活動などに充てられる。予約や問い合わせは(電)0749・37・8017。