
子供と一緒の時間を過ごす父親が、子供たちに自制心と社会的能力(ソーシャルスキル)を植え付けるということに疑問を呈する研究者はいない。しかし実際、父親たちがどのようにそれを達成しているかは大いに謎だ。
これまでの数千に上る研究は、母親との密接な結びつきが子供に与える利点を詳述してきた。しかし研究者らにとって、乱暴な遊びなど父親が子供と接する方法を分析するのは容易ではない。
一部の科学者は、父親という要因を測定するための新しい測定方法と実験のやり方を考え出している。ある研究者は、父親が床から立ち上がろうとし、子供がそれを阻止しようとする「ゲット・アップ」や、お互いのソックスを取り合おうとする「ソックス・レスリング」などの遊びをする父親と子供を観察した。別の研究者たちは、父親が見ているところで幼児に階段を下りさせる「リスキー・シチュエーション」と呼ばれるような行為をやらせた。
ジョージア大学の研究者で、父親と子供の結び付きに関する基本的疑問に関する研究を2012年に家族心理学専門誌「ジャーナル・オブ・ファミリー・サイコロジー」で発表したジェフリー・ブラウン氏は、「ほとんどの人々は良い母親についてはかかなり定まった認識を持っているが、父親の役割はそれに比べてずっと言及が少ない」と指摘している。
ニューヨーク市に住む写真家グレッグ・ケスラーさんは、7歳の息子エズラ君や4歳の娘ゾーイちゃんと乱暴な遊びをするのが好きだ。ケスラーさんはよくレスリングや枕投げ、それに仰向けに寝て子供を足裏に乗せて上下に動かす「ビッグ・チェア、リトル・チェア」という遊びをする。
妻のポーラ・トロットさんは、夫の遊びのスタイルはエズラ君が自立するのに役立つだろうが、子供をひどく興奮させることには「とても困惑させられる」と話す。そして、時々は「子供たちの叫び声に耐えられなくて部屋を出てしまうことがある」と語った。
初期の愛情テスト―子供の発達研究での重要なコンセプト―は赤ちゃんの母親とのつながりを分析するために開発された。「ストレンジ・シチュエーション」と呼ばれるこのテストは、母親を赤ちゃんから2回、短時間離れさせる。動転するが、母親が戻るとすぐに落ち着く赤ん坊は、確固とした結びつきがあると判断される。
母親の思いやりに関する別の測定でもポジティブなスコアが見られ、のちのち子供により良い認識および感情的スキルが備わることが予想できるが、このテストを父親に当てはめると、そのスコアからは一貫したことはあまり予想できず、しばしば他の測定結果とも一致しないことが多いと分かった。
多くの研究者たちは、父親との結びつきは少しあとで表れるとみている。つまり、子供がリスクを探ったりリスクを取ったりできるような安全な基盤としての役割を果たす時だ。これを実験室で研究するのは難しい。しかし、動物の研究では、例えば乱暴な遊びができないようにされたラットの赤ちゃんは、成長したときにより攻撃的でソーシャルスキルに欠けることが分かった。
ドイツのレーゲンスブルク大学の以前の研究では、研究者たちは、子供に能力を伸ばすように要求するかどうか、子供の感情に敏感かどうか、子供に問題を自分で解決させるかどうか、に基づき親の遊び方を評価する測定方法を考え出した。母親と父親は2歳の子供と積み木か粘土で遊ぶ様子を観察された。父親のスコアは、子供が16歳になった時に他人との関係に健全な態度を取ることを唯一予見するものだった。これは同大学の上級科学者カリン・グロスマン氏が49人を対象に行った02年の研究の結果だ。
デンバーのクリストファー・バンディイクさんは4歳の息子リアム君の遊びたいというシグナルに注意している。彼は「息子はこのようないたずらっぽい表情を見せるので分かる」とし、「枕投げをする。息子の耳をかじるふりをすると、彼は叫び声を上げる」と話した。
リアム君は時に、「僕が脅かす。『ワッ』といったら『ウワー』といわなければだめだよ」と自分から言い出す。バンディイクさんは、息子が抑えきれなくなったりおびえたりしているというシグナルにも注意を払う。彼は「ブレーキをかけなければならない時がある」と話す。
乱暴な遊びは父親に限ったものではない。ニューヨーク大学の発達心理学教授のキャサリン・タミスルモンダ氏は「母親がこれをやっても子供たちは同じことを学ぶ」と述べた。
バンディイクさんの妻アンジーさんはしばしば息子と活発なスーパーヒーロー遊びをする。アンジーさんは「息子は時に静かな時間、時に取っ組み合いの時間が必要だ」と話した。
ただ、平均すれば、父親はより多くの時間を取っ組み合いの遊びに割いている。ニューヨーク大学の研究者たちはカーペットを敷いた斜面を使って、34人の親たちに、どのくらいの角度までなら自分の赤ん坊を遊ばせるかと質問した。父親の約62%は、子供の能力を越えた角度でも遊ばせてみるとし、母親の56%を上回った。これはタミスルモンダ教授らが07年に行った研究だ。
発達行動小児科学会の公式誌、「ジャーナル・オブ・ディベロップメンタル・アンド・ビヘイビオラル・ピディアトリクス」に掲載された32人を対象にした11年の研究では、多くの父親は遊びのなかで安全と危険の紙一重のところで、危険にさらすほどではないが、子供が少しぐらいけがをするのも許していることが示されている。研究者たちは、このことにより、攻撃にさらされて心の知能指数や、良識的なリスクを取る能力を植えつけるとともに、友達の間で制限を設けることにつながると指摘する。
ニュージャージー州の大学教授、ナブディープ・シン・ディロン氏は4歳の娘カビヤちゃんと蹴飛ばすまねといった格闘遊びをするのが好きだ。彼はこの時、キックをどう防ぐかを教え、「さあ今度はお前が蹴る番だ」と言う。時には娘と4カ月の息子を脚で押さえ込み、娘が3回軽くたたいたら解放の合図とする。彼は、このような遊びを通して子供は限界を設けることを学ぶとし、「自分自身や他の子供との係わり合いを捉えているときには、何が大丈夫で、何が大丈夫でないかを知ることになる」と話す。
オーストラリアのニューカッスル大学の講演者で、研究者のリチャード・フレッチャー氏は、父親を就学前の子供と自由に遊ばせて研究した。同氏は、父親は時に子供のリードに従う一方で、子供に全力を尽くすよう促し、子供が興味を失わない程度に子供を勝たせることが必要だと述べた。同氏は遊びの質を測る基準を考案した。昨年、専門誌に掲載された研究では、研究者は3、4歳の子供と「ゲット・アップ」と「ソックス・レスリング」をして自宅で遊ぶ26人の父親のビデオを撮影した。遊びの質で高いスコアだった父親の子供たちは社会的問題も行動面での問題も少なかったという。
By Sue Shellenbarger
中国で液化天然ガス(LNG)に価格の安い液体窒素を混ぜて販売する業者が増えつつある。燃料としての質が下がり、自動車では走行中にエンジンが停止、工場では必要な熱量を得られないなどの問題が出ている。中国新聞社が報じた。
液化天然ガスの主成分はメタンで、液化石油ガス(LPG)の主成分であるブタンやプロパンよりも分子量が小さいために、圧縮する場合にはより強い容器、液化するには容器の問題に加えて摂氏氷点下82度以下の低温の実現など、技術的要求が高い。
中国では、発電分野で石炭火力への依存度が極めて高いなど、エネルギー源について、日本に比べればまだ相当に遅れた状況だ。しかし最近は、大気汚染が深刻化するなどで、LNGなどへの関心が高まってきた。
ところが、LNGに「液体窒素」を混ぜて販売する業者が出始め、増加しつつあるという。石油、石炭、各種鉱石などの電子商取引・先物取引を行う金銀島(北京)アナリストの朱穎新氏によると、LNGは燃焼カロリーの調整のため窒素の添加を行うが、本来ならば窒素量が全量の10%を越えることはない。しかし、窒素価格がLNG価格より安いため、大量の窒素を混入する業者が出始めたという。
中国北部地域では、液体窒素価格は1トン当たり1500元(約2万4600円)で、LNGの仕入れ価格は4000元(約6万5700円)だ。LNG運搬車は20トン積み程度の場合が多いが、1台当たり液体窒素を10%増せば、それだけで8000元(約13万1000円)の「利益の上積み」となるという。
朱氏によると、これまで中国ではLNGの「窒素による水増し現象」が多く発生していた。LNGでは少なかったが、最近になり増えてきた。特に湖北省、陝西省一体で目立つという。
通常よりも窒素が多く混入されたLNGは「燃焼する」という物質としての特徴そのものは変わらないが、利用者にはさまざまな損害をもたらす。車両燃料として使われた場合には走行中のエンジン停止やノッキング、さらに工場で用いられた場合には、得られる熱量が基準に達しない場合もある。
中国ではLNGに達する窒素混入を規制する法律がなく、取り締まりが困難な状態だ。高い利益が出せるため「窒素による水増し」は、急増しているという。
当局による取り締まりがないため、江西省でLNG運送を業務とする企業は、「LNGに対して悪質な窒素混入を行う業者を通報」した場合、同社が1万元(約16万4000円)の賞金を出す制度を設けた。
同社社長によると「だれもかれもがこんなことをして、だれも取り締まらなければ、業界全体がどんどんダメになってしまう」との危機感から始めたという。同社長によると、LNG関連の業界団体にも、「粗悪LNG」を規制する能力はない。
朱氏はLNGの「水増し」現象について「目下のところ、業界の自主規制に頼るしか、この問題を解決する手段はない。行政には、早く規則を策定して合法的な業者の合法的な権利を保護するよう期待したい」と述べた。(編集担当:如月隼人)
東京や大阪などで咽頭結膜熱(プール熱)が流行の兆しを見せている。6月2日から8日までの週の患者報告数(小児科定点医療機関)は、東京で前週比25%、大阪で同12%それぞれ増加。警報基準値を超過する地域も出てきており、報告が急増した東京都中野区は「これから夏場に向けて流行期となるので、動向に引き続き注意する必要がある」としている。【新井哉】
東京都内の定点医療機関当たりの患者報告数は0.89人。保健所管内別では、中野区が4.14人で最も多かった。以下は大田区(3.0人)、多摩小平(1.67人)、みなとと文京(1.5人)、中央区と江東区(1.33人)などの順。年齢別では5歳以下が全体の9割以上を占めた。警報基準値(3.0人)を上回った中野区では、2か所の幼稚園で集団感染が発生し、学級閉鎖などの措置が取られたという。
大阪府内でも中河内で警報基準値を超える3.25人を記録。大阪市北部でも2.29人と多く、府内全体では東京都を上回る1.24人となっている。
隣接する兵庫県でも前週比12%増の1.15人を記録したことから、同県感染症情報センターは、▽感染者との濃密な接触を避ける▽流行時はうがい、手指の消毒を励行する▽水泳前後のシャワーや、タオルの共用を避ける―といった予防策を挙げ、注意を呼び掛けている。
咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、のどの炎症や発熱、結膜炎の症状が出る。プールでの感染も多いことから「プール熱」とも呼ばれ、主に夏場に流行する。感染経路は主に接触感染や飛沫感染だが、タオルやドアの取っ手、エレベーターのボタンなど患者が触れたものを介してうつり、保育園、幼稚園、小学校などでの集団感染も少なくない。