
「可能性のある基本ソフト(OS)がどれかを試していく」(サムスン電子)
「ひたすらアンドロイドOSで勝負する」(LG電子)
韓国電子業界の両雄がスマート機器事業で正反対の戦略を掲げている。サムスンは多角化、LGは集中の戦略だ。
サムスン電子はこれまでに4種類のスマートウォッチを発表した。採用したOSは3種類。「ギャラクシー・ギア」にはアンドロイド、「サムスン・ギア2」「サムスン・ギア2ネオ」には、サムスン電子とインテルが合弁で開発した「タイゼン」をそれぞれ採用。「サムスン・ギア・フィット」にはスマートウォッチ用にサムスンが独自開発したOSを選択した。
これに加え、グーグルが今月19日に発表したスマートウォッチ用OS「アンドロイド・ウエア」を採用した製品も年内に投入する予定で、最終的に計4種類のOSを採用することになる。
一方、LG電子はアンドロイド・ウエアを採用した「Gウォッチ」1種類だけを発表した。同OSが採用されるのは世界初で、今年第2四半期(4-6月)中に発売される予定だ。LGは今後もグーグルとの協力を強化し、新型のアンドロイド製品を続々と投入する計画だ。
専門家は両社の戦略の違いについて、スマートフォン(多機能携帯電話)市場でのシェアや収益の差が背景にあると分析している。サムスン電子が2011年第3四半期(7-9月)から世界のスマートフォン市場で首位を走っているのに対し、LG電子は3-4位で推移している。収益の格差はさらに大きい。
香港の移動通信専門アナリスト、ホレース・デディウ氏によると、過去6年間に世界の携帯電話端末メーカーが上げた利益2150億ドル(約21兆8000億円)のうち、サムスン電子は26.1%を占めた。これに対し、LG電子は1.2%にすぎない。
サムスン電子はスマートフォンで成功を収めている。「世界首位」というブランドが定着したため、アンドロイドに執着することなく、さまざまな試みが可能だ。同社の申宗均(シン・ジョンギュン)社長(無線事業部長)も「顧客が望む製品であれば、どんなものでも発売したい」と語っている。
LG電子の事情は異なる。2012年に「オプティマスG」で携帯電話の名門復活を遂げたが、まだアンドロイドに集中せざるを得ない状況だ。
グーグルの両社に対する戦略も異なる。サムスンは昨年1月、グーグルとクロスライセンス契約を結んだ。既に両社が保有している特許だけでなく、今後10年間に取得する特許を共有する内容だ。
IT専門メディアの「リコード」は、サムスンとグーグルによる契約を「サムスンに与えたニンジン」と分析した。サムスン電子はアンドロイドOSを採用しながらも、アプリ販売プラットフォームの「サムスン・アプス」、コンテンツ販売プラットフォームの「サムスン・ハブ」などグーグルと競合する独自サービスを展開してきた。グーグルの影響力から脱するため、パダ、タイゼンなどさまざまなOSも実験してきた。そこでグーグルは、サムスンが脇目を振ることがないように、けん制の意味で幅広いクロスライセンス契約を結んだといえる。
グーグルのLG電子に対する態度は「信頼できるメーカー」に近い。LG電子は12年以降、グーグルブランドを付けたスマートフォン「ネクサス4」「ネクサス5」を相次いで開発した。今回もグーグル元子会社のモトローラと共に、アンドロイド・ウエア搭載製品を最初に発売するメーカーに選ばれた。LG電子の技術力に対するグーグルの信頼が見て取れる。