
岸田文雄外相は4日午前の閣議で、平成26年版「外交青書」を報告し、了承された。核兵器・ミサイル開発に突き進み、挑発を続ける北朝鮮は東アジアの安全保障の「最大のリスク要因」と指摘するとともに、日本人拉致問題を「最重要の外交課題」と位置付け、完全解決に向け全力を尽くすと強調した。
北朝鮮情勢については、金正恩第1書記の側近だった張成沢元国防副委員長の処刑に触れ、今後の動向を注視。「対話と圧力」の方針を維持し、非核化などに向け、北に具体的な行動を取るよう要求するとした。
対中国政策では、東シナ海上空の防空識別圏設定と尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での領海侵犯を「力に基づく一方的な現状変更の試み」と批判し、歴史認識問題を含めて中国側の主張に反論すべく発信力を強化すると明記した。同国の現状は「透明性を欠いた軍事力の強化が広範かつ急速に進められている」として、透明性の向上を求めていく決意を示した。
日韓関係では、戦時中に朝鮮半島から徴用された韓国人らが賠償を求めている「徴用工訴訟」の記述を盛り込み、日韓間の財産請求権問題は1965(昭和40)年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済み」と強調した。慰安婦問題にも言及し「これまでの真摯(しんし)な取り組み理解が得られるよう努力する」とした。
安倍政権が中国をにらみ関係強化を進めている東南アジア諸国連合(ASEAN)に関しては、安保分野で連携促進に取り組む方針を示した。
「人権・女性」に関する項目を新設し、日本で4月1日に発効したハーグ条約を説明した。外務省が力を入れる「領土保全に関する情報発信」については、コラムで取り上げてアピールした。
26年版外交青書は、安倍晋三首相が提唱する「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を前面に打ち出した。首相と岸田氏が訪問した外国を色分けして書き込んだ世界地図を載せ、「安倍外交」の成果を強調した。
また、昨年12月に発足した国家安全保障会議(NSC)、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更の議論を進めている「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)をも取り上げるなど、“安倍カラー”を象徴する安保政策をめぐる記述が25年版に比べて大幅に増えた。
昨年12月の「国家安全保障戦略」の策定を踏まえ、通常は日米安保体制から展開する章の前段部分に「安全保障に関する取組」と題した別項を盛り込み、NSCの組織図も掲載した。