
【クアラルンプール】2週間以上前に消息を絶ったマレーシア航空機に関する調査は行き詰まっており、原因について公式な説明のない状態が続いている。
同機の捜索活動は、23日もオーストラリア南西部から約2500キロ離れたインド洋南部海域で続けられた。マレーシア政府当局者らは、消息を絶った理由を解明する上で最も重要なのは、同機の飛行データを記録した「ブラックボックス」の回収だと話す。
ある関係者によると、マレーシアの当局者はイスラム過激派によるテロ攻撃の可能性を排除していないものの、捜査はその方向からそれつつある。捜査の重点は行方不明機の機長と副操縦士に置かれている。2人とも、同機の航路を変更させる技術と機会を持っていた。
マレーシアのナジブ首相は1週間以上前、同機が意図的に消息を絶ったとの見方を示した。同国当局は犯罪捜査を開始したが、その後、機材の故障の可能性を排除していないと語っている。
事故発生直後から、米国の捜査当局者少なくとも10人が調査協力のためマレーシア入りしている。米捜査当局者の関係者によれば、機長と副操縦士のミスや機材故障など事故説は、消息を絶つ前後の一連の出来事に適合しそうもないことなどから、薄らいでいる。
乗客の出身地の各政府はロシアを除きいずれも、経歴をチェックしテロとは関連がないことを確認したとマレーシアに通知済みだ。インドネシアのユドヨノ大統領は先週、自国の乗客7人全員について、テロとのつながりはなかったとマレーシアに報告した。
ジャカルタに拠点を置く紛争政策分析研究所(IPAC)のシドニー・ジョーンズ所長は23日、「テロによるものという形跡はない」と述べた。根拠については、「この地域には航空機テロを起こせる能力のある過激派グループはおらず、マレーシアを標的にすることに関心を抱いているグループもない。機長や副操縦士の経歴に過激派との接点を示唆する点はなく、テロリストと関係のありそうな乗客もいなかった」と説明した。
マレーシア機が行方不明となった原因については、ハイジャック、火災、機長や副操縦士の自殺などさまざまな説が流れている。しかし、調査当局は公には、1つの説に絞っていない。同機は急激にルートを外れ、トランスポンダ(信号応答機)が作動せず、消息を絶った後おそらく燃料がなくなるまで数時間飛行を続け、遭難信号を発しなかった。こうした奇妙な一連の出来事を1つの説では説明できないからだ。
調査当局は、積み荷や乗客のリスト、機長のフライトシミュレーターやパソコンなど無数の手掛かりをチェックしたが、関係者によればこれまでのところ何の成果も出ていない。
ヒシャムディン国防相兼運輸相代理は先週、ブラックボックスの発見がカギを握っているとの認識を示した。機長が火災や減圧のために意識を失った可能性があるかどうかとの記者団の質問に対し、「その可能性も排除していない。ブラックボックスを早急に発見できれば、その線の調査にもっと多くの情報をもたらしてくれるだろう」と答えた。その一方で、調査が難航していることを認め、このまま謎が解決されない可能性もにおわせた。
RICHARD C. PADDOCK