
【東京】環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり9、10両日に行われた日米閣僚協議は、両国の意見の相違を埋めることができずに終わった。このため、24日に東京で行われる日米首脳会談前に合意できるかどうか見通しが怪しくなってきた。
両国政府は、オバマ米大統領が来日する前に合意のめどをつけたいとの期待を示していた。中国が東アジアでの日米の影響力に疑問を投げかけていることもあり、両国は首脳会談を使って、日米同盟が引き続き強固なことを示そうと狙っている。
閣僚会議の米側代表のフロマン米通商代表部(USTR)代表は会議終了後記者団に対し、「2日間の協議である程度の進展をみたが、重要な問題で双方の立場に依然かなりの相違が残っている」と述べた。日本側代表の甘利明TPP担当相は、双方が相手側の立場を理解するようになったと語った。両者とも、いくつかの相違点で距離が縮まったと述べている。
TPPは、オバマ氏にとってはアジア重視路線への転換の象徴となるものであり、安倍晋三首相にとっては成長戦略の柱の1つとなっている。また、中国の存在感が強まる東アジアにおいて、米国の影響力の増大につながる。
日米協議の争点は、日本の農業と米国の自動車の両部門で、日本側がコメや牛肉などを保護したいとしているのに対し、米側は農業部門の全面市場開放を要求している。同じく、米国は輸入日本車に対する関税撤廃を渋っている。
フロマン代表が来日する前日の7日、日本はオーストラリアとの間で日豪経済連携協定(EPA)について大筋合意に達し、日本側はオーストラリア産冷凍牛肉の関税を38.5%から18年間で20%弱にほぼ半減させることに同意した。フロマン代表は8日来日した際、日豪EPAは日米交渉には影響を与えないだろうと述べ、日本に対してオーストラリアに示した以上の譲歩を求める意向を明らかにした。
日本の交渉団は、オーストラリアとのEPA大筋合意を受けて米国が日米交渉への姿勢を軟化させると期待した。米国とオーストラリアは牛肉などの農産物について日本市場で競合しているためで、日本は米国とオーストラリアからよりよい条件を得るために両国を競わせようとした。
米国は昨年中にTPP交渉を妥結したいと望んでいたが、交渉は現在も不透明なままだ。フロマン、甘利両氏は、オバマ氏の来日中に合意を発表することは重要でないと言い始めている。フロマン氏は10日、コメントを控えた。
日米が合意に達したとしても、まだ数千項目におよぶ関税の問題が残っているうえ、知的所有権、国有企業の改革、政府調達の開放などについても決着させる必要がある。
加えて、オバマ氏が議会から通商交渉に関する大統領貿易促進権限(TPA)、通称ファストトラック(早期一括審議)権限を付与されるかどうかについても不透明なままだ。ファストトラック権限が与えられれば、議会は法案について修正を加えることができなくなり、政府は通商交渉がやりやすくなる。
By MITSURU OBE