東日本大震災で被災し、紙芝居などで震災の話を語り継いでいる福島県新地町の村上美保子さん(65)が5日、広島市佐伯区の市区民文化センターで講演し、震災復興の力となったコミュニティーを中心とする地域の支え合いの大切さを訴えた。
村上さんは震災当日、夫と高台に避難し助かったが、人口約8千人の町は100人を超す死者を出し、経営していた旅館一帯は壊滅状態に。現在は仮設住宅で暮らしながら、広島市内の市民グループと共同で、震災の話を紙芝居にするなどして語り継いでいる。
講演会は、少子高齢化や核家族化でコミュニティーの希薄化が進む現状を懸念する区町内連合会や区役所などが村上さんを招き開いた。
村上さんは「東日本大震災と住民の支え合い」と題し講演。避難所で被災住民が声をかけ合ったり、家族を津波で亡くした人に気遣ったりするうち、連帯感が生まれたことを紹介し、コミュニティーの重要性を強調した。また、紙芝居をスクリーンに映し出し、震災での町の漁師らの行動、家族を失った悲しみも伝えた。
会場には約200人の広島市民らが訪れ、熱心に聞き入った。