
インドネシアで人材育成への懸念が広がっている。同国政府は今年の国家予算約1800兆ルピア(約16兆200億円)の2割強に相当する368兆9000億ルピアを教育関連に充てるなど人材育成に注力する姿勢を示すが、効果が上がっていないとの指摘が後を絶たない。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
同国のブディオノ副大統領は「雇用者側は人材確保に苦心しているという報告が増えている」と述べ、市場が求める必要な人材を供給できなければ持続的な経済成長は望めないとの懸念を表明した。
こうした見解は国外からも寄せられており、国連機関の国際労働機関(ILO)は2013年の報告書でインドネシアの労働市場について、「教育が十分に施されていないために求人要件を満たさない労働者が多い」と指摘。単純労働などの雇用が増加している一方で、大卒レベルの採用数は横ばいが続いていると解説した。
また、米調査会社ボストン・コンサルティング・グループによると、同国の13年の該当年齢者の大学在籍率は20%とブラジルや中国など他の新興国と比較して低い。同社はインドネシアが20年までに深刻な人材不足に陥る可能性があると警鐘を鳴らす。
さらに、インドネシアは高等教育の内容などにも問題を抱える。英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが毎年発表する世界大学ランキングの最新版で上位400位以内に入ったインドネシアの大学は、360位のガジャマダ大学、369位のバンドン工科大学、395位のインドネシア大学の3大学のみだった。
専門家は同国の教育システムについて、能力主義が浸透せず、親の財産や影響力で成績や進学が左右されると指摘している。
また、非政府組織(NGO)のインドネシア不正監視団も「上は教育省から下は現場の教室まで不正がはびこっている」と主張するなど、腐敗・不正の問題も深刻だ。
インドネシアを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)は、15年に市場統合を控え、今後は人材面でも地域内の競争が激化すると予想される。若年層から労働者まで、教育による人材育成が急務となるなか、インドネシア政府は待ったなしの対応を迫られているといえそうだ。(シンガポール支局)