
アイルランドの国民には、約800年にわたり英国に支配、抑圧されたとの思いがある。宗教も対立の大きな理由となってきた。
アイルランドは12世紀にイングランドにより征服された。イングランド貴族に土地が配分される一方、アイルランド人は農奴にされるなど厳しい服従関係を強いられた。17世紀にピューリタン革命が起きると革命を主導したクロムウェルはアイルランドを植民地化し、プロテスタントの入植が進んだ。1801年には併合される。
独立運動が高まり、1922年にアイルランド南部が自治領となった際も、英国はプロテスタントが多い北部を自国領にとどめ置いた。
しかし、北アイルランドも人口の約3分の1はカトリックで、プロテスタント優位の体制を守ろうとする北アイルランド当局とカトリック住民が衝突を繰り返し、69年には紛争に発展。72年に英国は北アイルランドの直轄統治に踏み切るが、アイルランド共和軍(IRA)などによるテロ行為で、3600人以上が犠牲となった。
英政府から北アイルランドの自治政府に司法・警察権が移譲され、和平プロセスが事実上終結したのは2008年のことだ。女王のいとこも殺害されるなど、双方に深い傷痕が残った。(黒川信雄)