
ご多分に漏れず花粉症(と思われる。診断は受けていないため)である。この時期、目がかゆ~くなり、タイミングは予測だにできないが、くしゃみが連発しだすとさあ大変。そんな体質なのに植林のスギが「てんこ盛り」の山に行く私。体調すら万全でない状況でのハプニングも「てんこ盛り」の山行記である。(中村宏二)
「ピコーン」だったか「ブーッ」だったか忘れたが、南海高野線天見駅の自動改札口に、スルッとKANSAIカードを入れて通過しようとしたら、そんな音とともにゲートがガチャンと閉まってしまった。
「はあ?」。残高は十分あるやん。なんでやねん。もう1回通しても結果は同じであった。無人駅やし、どないもならんやろうし、強行突破しようかと思うこと数秒の間に、改札口に設置してあったインターホンからいきなり女性の声でご案内がありびっくりした。
「裏面に印字はされてますか?」
「ちゃんと天見(で降りた)って印字されてますで」
「では改札を開けますのでお通りください」
どこかで集中管理されているのであろう。通せんぼされて「幸先悪いなあ」と思っていたのだが、やはりこの後もハプニングが続くことに相成った。
3月16日(日)。天候は晴れで暖かい一日。最近は日没もかなり遅くなり、余裕を持って山にいけるのだが、遠出はせずに金剛山周辺の山へ。第1目標は河内長野市にある「鳥地獄」であった。
鳥地獄は「タンボ山」(763メートル)の北に位置する。林道わきにあるらしく、池から泡がぶくぶくと出ていて、近くには鳥が死んでいるのがよくみられるという、一部で有名なスポットである。炭酸ガスの噴出で、水を飲みに来た鳥が一瞬にして死ぬなどといわれているが…まずは見てみなわかりまへん。
問題はどのルートを取るか。天見駅で下車し、山間部の集落を抜けて林道から鳥地獄へ行ってタンボ山を目指して登るか。それとも南海高野線紀見峠駅から北上してタンボ山を経てから鳥地獄へ下るか。
時間的には短い山行で済みそうなので、まず鳥地獄をチェックしてタンボ山に行き、紀見峠駅を目指して下山、近くの紀伊見温泉で汗を流そうと画策したが、手持ちの「山と高原地図 金剛・葛城 紀泉高原」では少々ルートがわかりづらい。
「まあ、いつものことやし大丈夫やろ」と軽く考えるのがさすがに「へたれハイカー」である。天見駅を降りてまず最初に最短ルートをはずしてしまって車道沿いを歩くはめに。この日2回目の「ハプニング」である。
とはいえ、山間部の集落などの景色も楽しみながらテクテクと。まもなく林道に入り徐々に高度も上げていく。
ダイヤモンドトレール(ダイトレ)沿いにあるタンボ山。天見側から登りダイトレに出る「天見道」などの登山道も地図には表記されており、その分岐を確認しながらのハイク。だが肝心の鳥地獄を目指すルートの「地獄谷線」の道までにわかりにくい分岐がある。結局のところ、その分岐(十字峠)に至る道でルートを誤り、林道終点から谷筋を遡上してしまったのであった。これが3回目の「ハプニング」。「うーん。この道は何か違うような気が…でもまあいっか」なのである。
途中で出合った小滝にも目を奪われながら、踏み跡を辿って急登り。途中踏み跡が不鮮明になるところが数カ所あったが、持ち前のルートファインディングで突破。「もうへたれは卒業である。さすがである」と何度言ったかしれないが、無理をしなければなんとかなるもんで、下山後よくよく調べても地図にないルートを登りきってダイトレまで出る尾根上に到着した模様。さらに小木などをかき分けながらダイトレ合流を果たしたのであった。
だが、この合流地点がタンボ山の東に位置するのか西なのかが不明であった。こういうときのために現在地を知るための登山用GPSが欲しいのだが、まだまだ修行中の身としては高根の花である。実は六甲でのビバーク回避の立役者でもあるデジカメにもGPS機能があるのだが、しばらく使っていないうちに操作方法を忘れてしまったので見ず終い。やっぱり情けない。
ここでやはり指摘しておきたいのだが、我が背山の六甲とは違い、金剛山周辺のマイナールートでは、ほとんど標識がないのが常。目印は木に付けられたテープの類いなのだが、これをむやみに信用するとエライ目に遭うのである。開拓精神が旺盛なハイカーが付けたテープだととんでもない藪漕ぎを強いられることもしばしば。むやみに標識が設置できないのだろうが、いずれにしてももっと標識を増やしてや~というのが、へたれのお願いである。
さて、山中では街中の「一桁国道」に匹敵するレベルの「主要道」、ダイトレに出た私。天見の駅からそこまでまったく花粉症の症状が出なかったのに、なぜかここでくしゃみ鼻水が止まらない(ハプニング4回目)。「花粉だけでなくて、車の排ガスなんかも相まって花粉症になるって聞いたことがあったっけ。さすが山中の国道やなあ」と独り言。なんのこっちゃ。
で、これからの進路である。「タンボ山はこっちに違いない」と合流地点から東進すると、やはりさすがであった。タンボ山の標識(ただし、ほんまの山頂はちょいと離れたピーク)がお目見え。ここにはベンチもあった。
時刻は途中の谷筋の遡上で難儀したこともあり、すでに午後1時を過ぎていたのでここで昼食。カップ麺(カレー味)とおいなりさんの組み合わせを楽しんでいると、さすがダイトレ。次々にハイカーやトレイルランナーのみなさんが通り過ぎ「こんにちは~」。ポカポカと陽光も暖かく、ああ、エエなあ、なのであった。
てな感じでこの日の山行中、唯一ともいえる「平和なひととき」を過ごしたのだが、やはりこの後もハプニング。結論からいうと、「鳥地獄」への入り口には「通行禁止」のえーっと、なんちゅうんやろ、黄色と黒のカラーリングのやつで、道路の通行止めのために使われる、例のえ~っと…まあ正式名称はええとして、とにかく「入ったらアカンで」のやつがデーンと置いてあったのである(ハプニング5回目)。
でも、ここであきらめるへたれではないことはみなさんご承知であろうと思う。で、突入した。ただ、入り口付近も倒木の枝をかき分けねばならず、道すらもよくわからない。
金剛山への登山道を始め、周辺の山中の登山道などは昨年の台風でかなりの被害を受けたようだ。この鳥地獄もそうなのであろうか。進むにつれ数多くの倒木や土砂流入などで、はっきりいって「訳がわからん」状況なのであった。鳥地獄を訪れるのは今回が初めてなので、どのくらいのレベルの被害なのかは不明だが、ネットなどで見る小ぢんまりとした「池」のようなものは見当たらなかった。
「でももうちょい奥の方も確認しよ」と徘徊すると、「ズブリ」と靴が沈み込む場所もあり。一瞬「げ!底なし沼ちゃうか?!」との恐怖も味わった。おまけになぜかここでもくしゃみの連発で鼻水がたらたら(以上、ハプニング6、7回目)。
「ああ、縁がなかったんや。地獄には」。エンゼルな私はそれを結論に鳥地獄を脱出したのであった。ただし、今後はルートを明確にたどれるので、もう一度確認はしようと思っている次第である。
さて、鳥地獄を出てから天見駅までの山道も台風被害であろうか、路肩の崩落などで結構ズタズタ(ハプニング8回目)。「きょうはなんだかな~」と思いながらも、なんとか天見駅に到着し、堺東駅まで。ここで一人反省会である。
おじゃましたのは駅前の「ガシ」(堺東の略)にある某居酒屋さん。「(鳥)地獄で乾杯!」をもくろんでいたが、発見に至らず、靴は泥に沈み、鼻水が止まらなくなった私は持参の「第3のビール」(定番)をその場で空ける余裕もなく、珍しく山中アルコールは摂取せずだったので、ここで待望のビールで喉を潤した。で、ろくな反省もせずにテレビの相撲を見ながらおでんなどをアテに適量を嗜んだ。
「ごちそうさん~おあいそ」と店を出るときになって、店のお姉さんが「山登り行ってきはったんですか?金剛山?」と私に尋ねてきた。なんや~もうちょっと早めに振ってくれたら山のことアピールできたのに…。
へたれ「はい。きょうは金剛ではなくて、天見から周辺の山登ってきましてん」
お姉さん「あたしも山登りし一回してみたいんですよね~金剛山とか」
へたれ(うふっ)「行きますか~?」
お姉さん「はい~ぜひ。またお店に来て教えてください~」
計8回のハプニング続きの山行であったが、お姉さんのご愛きょうでプラマイゼロ? 人生も山登りも同じ? はてさて、お姉さんはへたれチーム入りするのか否か。請うご期待!