【東京】安倍晋三首相が1年前に成長戦略を発表したときには、株式市場は失望売りで急落を演じた。政府当局者は、24日に発表する新成長戦略では好反応を期待している。
前回との相違は、投資家がより現実的になっていることもあり、安倍氏が控えめになり、鳴り物入りで宣伝しなくなったせいでもある。成長戦略はすぐに成果が出るようなものではなく、長期的な見通しを高めるためのものである。改定版はそういうものになるだろうか。多くの提案は、最終発表を前に骨抜きにされた。安倍氏の側近は、それにより実際に実行に移される可能性が高まったと主張する。
世耕弘成官房副長官は23日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、たとえ100点ではなく80点の出来でも、実行に重点を置いている、と指摘した。
安倍氏の成長戦略は、経済改革のための野心的かつ広範な青写真である。16日に公表された92ページ近くに及ぶ改定成長戦略素案は、「外国人が効率的に働ける社会をつくる」ことから、「想定可能な紛争処理システムを構築する」ことまで、さまざまな点に言及している。
日本はなぜ成長戦略を必要としているのか。簡単に言えば、日本は成長力を失っているからだ。1980年代に資産バブルが破裂して以降、国内総生産(GDP)は年率で平均1%弱のわずかな増加にとどまり、80年代の4%超から大幅鈍化した。労働人口は減少し、高齢化は進んでいる。
企業は長期不況に萎縮して設備投資を削減し、代わりに海外で工場を設置し始めた。外国からの直接投資は、公式、非公式の高い障壁のためにほとんどみられない。リスクを犯し収益を拡大するよりも安定を望む企業文化が、成長のための新たなエンジンをつくり出す起業家的な行動を抑えてきた。
日本は経済の地盤沈下を思い知らされる出来事が2010年に起きた。中国が日本を抜いて、米国に次ぐ世界第2位の経済大国に躍り出たのである。中国のGDPは今では日本の2倍近くに達している。
こうした問題は、どれも目新しいものではない。安倍首相はこれらの問題に取り組もうとする日本で初めての指導者ではない。ならば、なぜ今回はうまくいくと思われるのか。それはおそらく、安倍氏の支持率が高く、政治的資産が(彼がそれを利用するならばだが)歴代の弱体で短命の首相よりも多いからだろう。
By JACOB M. SCHLESINGER
中国メディア・中国新聞社は23日、韓国政府が「日本軍による慰安婦状況白書」の発行を計画し、日本政府による「河野談話の調査結果に対抗する」と韓国政府官僚が同日明らかにしたことを報じた。
記事は、韓国政府による今回の決定について、書面資料を通じて従軍慰安婦の真相と日本側の責任を公にするとともに、従軍慰安婦問題に対する国際社会の認識を深め、日本政府に対して適切な処理を促す目的があるという分析があることを紹介。韓国政府がさらに、外交省のウェブサイト上における従軍慰安婦関連資料の充実を予定しているとも伝えた。
同省の趙太庸(チョ・テヨン)第1次官は23日午後、別所浩郎日本大使を呼び出し、「河野談話の調査結果」に対して強い抗議を行った。趙次官は「調査の目的が歴史的事実のわい曲、『河野談話』の信用度低下であることは明らかだ」としたうえで、調査報告の具体内容について逐一反論した。
趙次官はさらに、「河野談話」調査結果の発表によって、今月実施予定だった慰安婦問題にかんする第3回日韓局長級会談が事実上延期となったことにも言及し、遺憾の意を示した。(編集担当:今関忠馬)
鳥インフルエンザA(H7N9)の流行拡大に備え、厚生労働省は、開発を進めていたH7N9株のインフルエンザワクチンの臨床試験を、早ければ来月中にも始めることを決めた。動物試験での安全性の確認などを踏まえて行われるもので、人への接種は国内では初めて。国立病院機構の病院で、成人男性を対象にした第1相試験(ステージ1)が行われる見通し。【新井哉】
ステージ1では、健康な成人男性20―40歳を対象にワクチンを接種し、臨床研究中核病院に設置する検討委員会で、効果や安全性を検証する方針。安全性が確保できれば、10月にもステージ2を実施するという。厚労省は24日に開かれた新型インフルエンザ専門家会議(議長=岡部信彦・川崎市健康安全研究所長)に、この臨床試験に関する方針を報告し、了承された。
H7N9ワクチンの開発をめぐっては、これまでに専門家へのヒアリングや開発に関する検討などに加え、国立感染症研究所でワクチン製造候補株を作製。昨年9月から12月にかけては、治験薬ワクチンの原液を作り、今年2月には、この原液を使って治験薬の小分製品を製造していた。
マウスやモルモット、ウサギ、カニクイザルを使った原液や小分製品の動物試験では、マウスの免疫原性試験で異常は観察されず、モルモットの異常毒性否定試験でも生物学的製剤基準の判定基準に適合した。しかし、原液をウサギに使った発熱試験では、製造した原液3ロットのうち2ロットで陽性となった。
厚労省によると、ウイルス粒子に由来する発熱活性によるものと考えられ、「インフルエンザワクチン(H7N9株)原液特有の現象」と推察。カニクイザルの免疫原性試験でも、ワクチン接種後の採血時に1頭が死亡したが、「採血に対する脱血とストレスによる突然死」と判断したという。
厚労省から報告を受けた委員からは「副反応が出て使えない可能性もあり、その判断をするためにも臨床試験を進めておく必要がある」などの意見が出された。このワクチンの臨床試験は、今年度の厚生労働科学研究費で行われる予定。