菅義偉(すが・よしひで)官房長官は4日、みんなの党の浅尾慶一郎代表と官邸で会談した際、安倍晋三首相が少額投資非課税制度(NISA)の限度額を拡充する意向があると明らかにした。現在は年100万円の非課税枠について、菅氏は「首相は300万円にこだわっている」と述べたという。浅尾氏が会談後、記者団に説明した。
非課税枠をめぐっては、甘利明経済再生担当相が6月に「200万円に拡大してもいい」と意欲を示す一方、麻生太郎金融担当相は7月1日、240万円とする案を表明。非課税枠については、「12の倍数であれば、毎月同額を積み立てる投資手法を投資家に勧めるのに便利」(大手証券)との声もある。
政府内で非課税枠の拡大を求める声が相次いでいるのは、NISAを呼び水として、個人投資家の新たな資金を投資に呼び込み、株式市場を活性化させたいとの思惑があるためだ。
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はすでに、日本株への投資比率を上げる方向で検討に着手。政府内での意見集約が進めば、今後、投資活性化に向けた政策が一層加速する可能性もある。
甘利明経済再生担当相は4日の閣議後会見で、法人税収の上ぶれについて「(上ぶれの)何割がアベノミクスで、それ以外は別の要因というのを内閣府で検証したい」と述べた。法人税減税の代替財源として、上ぶれ分を充てることが妥当であることを強調する狙いがある。検証結果を経済財政諮問会議に報告し、年末の予算編成や税制改正に反映させる考えも示した。
財務省が3日発表した2013年度決算によると、税収は13年度補正予算後の見積もりから約1兆6000億円増加。法人税収も見積もりを約4300億円上回った。
ただ財務省は法人税の税収増も含め一時的なものが多いと指摘している。これに対し甘利氏は「前回法人税減税をしても税収は増えた。円安について言えば、この1年で円ドルレートはほとんど変わっていない」と反論した。