九州保健福祉大(宮崎県延岡市)が、細胞検査士を養成する「生命医科学部」の来年春の新設を目指している。同大では、来月にも文部科学省に設置届を提出する。同大によると、細胞検査士を養成する学部は九州初という。【真田悠司】
細胞検査士は、患者から採取した細胞を顕微鏡を用いて検査し、がん細胞の有無を調べる医療専門職で、日本臨床細胞学会と日本臨床病理学会が認定している。認定試験を受けるためには、臨床検査技師の資格取得後、医療機関や検査施設で1年以上の実務経験を積むか、大学での専門教育を受ける必要がある。
同大の担当者によると、医療機関は予算や人員確保の問題から、細胞の検査を外部業者に委託していることも多いが、現場でのニーズは高く、既に県内の病院などから、細胞検査士の資格を取得した卒業生を「採用したい」との声も上がっているという。1学年の定員は60人を予定している。
同大によると、細胞検査士を養成する学部は全国で8番目。同大では9月にも校舎の建設に着手、来年4月の開設を予定している。
宮崎県と大分県では現在、産官学が連携し、血液や血管に関する医療を中心に、医療機器産業の集積と発展を目指す「東九州メディカルバレー構想」を進めている。同大では新設学部から人材を輩出させることで、同構想をサポートする考えだ。
東日本大震災で被災し、紙芝居などで震災の話を語り継いでいる福島県新地町の村上美保子さん(65)が5日、広島市佐伯区の市区民文化センターで講演し、震災復興の力となったコミュニティーを中心とする地域の支え合いの大切さを訴えた。
村上さんは震災当日、夫と高台に避難し助かったが、人口約8千人の町は100人を超す死者を出し、経営していた旅館一帯は壊滅状態に。現在は仮設住宅で暮らしながら、広島市内の市民グループと共同で、震災の話を紙芝居にするなどして語り継いでいる。
講演会は、少子高齢化や核家族化でコミュニティーの希薄化が進む現状を懸念する区町内連合会や区役所などが村上さんを招き開いた。
村上さんは「東日本大震災と住民の支え合い」と題し講演。避難所で被災住民が声をかけ合ったり、家族を津波で亡くした人に気遣ったりするうち、連帯感が生まれたことを紹介し、コミュニティーの重要性を強調した。また、紙芝居をスクリーンに映し出し、震災での町の漁師らの行動、家族を失った悲しみも伝えた。
会場には約200人の広島市民らが訪れ、熱心に聞き入った。