
東日本大震災から約1カ月後の平成23年4月、福島県飯舘村は「計画的避難区域」に指定され、約6千人の村民が全員村を離れた。
多くの人が福島市や南相馬市などの近隣の仮設住宅やアパートなどに避難した。自宅を出なければならない混乱の中でペットをどうするかは難しい問題だった。ほとんどの場合、一緒に住んでいたペットを連れて行くことは難しく、人に預けたり、置いていったりするしかなかった。
3年がたった今でも避難生活は続いており、いまだにペットと暮らすのは難しい状況にある。中にはいなくなったり死んでしまったりするペットもいた。
飯舘村の自宅に置いたまま、定期的に餌を与えに行っている人もいれば、NPOなどを通じて知り合った人にペットを預けている人もいる。
飯舘村から川俣町に避難している高野江美さん(24)は一緒に住んでいた愛犬のララを女優の大場久美子さんに預けている。
家族と愛犬のララと一緒に住める家を探しているが、まだ見つかっていない。福島県内では避難や復興関係者などで賃貸住宅が埋まっており、ペットと一緒に住めるところとなるとなおさら難しい。
正月や休みのときにはララに会いに行っているという。近くに預けることができた人はいいが、高野さんのように遠くに預けざるをえなかった人は、ペットに会うために遠方まで行かなくてはならない状況が続いている。
一方で人の住まなくなった家では、ネズミがわが物顔で走り回っている。飯舘村の実家でもネズミの糞尿の跡があった。実家の両親のように頻繁に出入りしている家は、まだましだ。遠方への避難などで、出入りがない家ではネズミが大量に発生し、糞尿が悪臭を放っているという。
家の中だけではなく、外にはイノシシやサルなどの動物も大量に出没している。
福島市から飯舘村を通り、南相馬に行く県道の途中には必ずといっていいほど動物の死骸がある。
自宅の庭や田んぼ、畑などはイノシシが掘り起こした跡が多くある。
村で唯一の帰還困難区域の長泥地区では、写真家の関根学さんが避難後から民家の庭先に定点カメラを設置し、人のいなくなった飯舘村での動物達の活動を撮り続けている。
関根さんが撮影した写真には、イノシシ、サル、キツネ、タヌキなどたくさんの種類の動物が映っている。夜になると庭先に現われ、駆け回ったり、土をほじったりしている。
関根さんは「人が住まなくなっても動物がいてそこにある食物を食べている。汚染が濃縮されている可能性がある」と指摘している。
動物たちは村に放射能があることを知るよしもない。人がいなくなったことを不思議に思っているのか、人がいなくなってせいせいしているのかは分からないが、事故前と変わらずに村で生き続けている。