
平成25年度の貿易統計では、貿易収支の赤字幅が10兆円の大台を突破した。円安の急速な進展で輸入額が膨らむ一方、輸出額は伸び悩みを続け、貿易赤字に歯止めのかからない状態だ。国内の輸出企業を中心に構造の変化が進む中、今後も輸出回復の道筋は描きにくく、日本の「貿易立国」路線は岐路に立たされている。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は、金融政策で、日本経済を円安・株高へと誘導した。円安は原子力発電所の長期停止で増大した火力発電所用の燃料価格上昇を招いたが、政府は当初、円安を輸出増につなげられるとそろばんをはじいていた。
だが、半年から1年を過ぎても、その兆候は見えない。3月の輸入は原油(前年同月比18・7%増)、液化天然ガス(同14・0%増)が2ケタ台の伸びを示す一方、主要な輸出品の自動車は9・0%の伸び率にとどまる。3月は消費税率引き上げによる駆け込み需要も輸入増につながり、貿易収支の赤字幅を拡大させた。
4月以降も輸出拡大の見通しは立っていない。米国を襲った寒波の影響が薄れても輸出が戻らない背景として、「構造変化を疑う必要がある」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)ためだ。円高時代に国内企業が生産拠点を海外に移した結果、円安が輸出拡大につながりにくくなっている。
中国や韓国企業が高付加価値の家電製品などを次々と輸出するなど、海外市場における日本企業の競争力低下も見逃せない。
消費税率引き上げで、国内消費は一時的な落ち込みが避けられず、輸出までが伸び悩めば、景気の腰折れを招きかねない。政府は輸出企業の競争力強化などに加え、内需拡大など輸出に頼らない経済政策を強化する必要に迫られている。