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現場力はトップ力で変わる、大阪「ネクスタ」にみる成功事例 - NewStter

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2026.06.29|コメント(-)トラックバック(-)

現場力はトップ力で変わる、大阪「ネクスタ」にみる成功事例


 日本企業が真の力強さを取り戻すためには、経営トップが工場やオフィスなど現場からの提案や課題に応える熱意が欠かせない-という内容の提言を関西経済同友会が4月にまとめた。題して「現場力はトップ力で磨かれる」。「偉い人が現場に絡むとロクなことがない」どころか、積極的にそうした取り組みを行い、業績向上につなげている成功例があるという。

 ■トップが現場に積極的に関与を

 提言は、関西経済同友会の現場力革新経営委員会(委員長=村尾和俊・NTT西日本社長)が約1年かけて策定した。同友会では、低賃金の労働力を背景に均質化された製品を格安で提供する新興国などとの競争が激化する中、日本企業がマニュアルに基づく画一的な対応や非正規労働力への切り替えなどで市場の変化に柔軟に対応できなくなっていると危惧。生産や営業の現場で集団・組織が自主的、自発的に問題を発見して解決する力を「現場力」と定義し、これを強化することで企業の競争力を高められるとしている。

 提言では、「現場力」を磨くには経営トップが職場の雰囲気を良くする組織・活動を通じ、人材育成に積極的に関わるのが重要-と強調。成功例として紹介された13社のうち、包装用品メーカー「ネクスタ」(大阪市城東区)で、社員のやる気を引き出す取り組みについて聞いた。

 ■アメーバ経営ヒントに、月5件以上の提案を

 「5年間で10万社の顧客づくり、10万個の商品づくり」。ネクスタが平成24年に創業100周年を迎えるにあたり、19年から始めた全員参加の経営改善運動に掲げた数値目標だ。「Wづくり運動」と名付けた。

 運動開始前の顧客数の25倍、商品数でも20倍の規模。思わず尻込みしそうだが、約400人の全社員に対し「1人あたり月に5件以上の顧客と新商品の候補を提案するように」と細分化し、各部門で作った5~10人程度のチーム単位で目標達成に取り組ませた。

 「トップダウンの大きな数字だと自分が担うという意識が薄れる。全員参加で100周年を迎えたかった」。当時、社長として運動を提唱した岡崎昌三会長(74)が振り返る。

 ヒントとなったのは京セラの「アメーバ経営」。企業内で小集団(アメーバ)を組織し、メンバー全員で時間当たりの採算の向上を目指す手法で、京セラの稲盛和夫名誉会長から経営哲学などを学ぶ勉強会「盛和塾」に岡崎氏が参加していたことから自社にも取り入れたという。

 ■目標クリア、82億円の増収効果

 全員に参加意識を持たせようと「アタックチャンス」「10万パワーズ!」などと好きなチーム名をつけさせ、リーダーはチーム内で持ち回り制に。また、挙げられた提案は社内報などで情報共有したり、実際に新商品の試作品を作ったり、優秀な提案は表彰するなどして士気を高めた。

 チーム同士が競い合う中、社員間のコミュニケーションや協調性なども向上した。「月に5件以上の目標に届かなかった社員には他のメンバーが『こんなネタがあるよ』と助け合ったりした」と開発営業部の一ノ瀬浩史係長(43)。新商品のアイデアが枯渇してくると、家族や友人、行きつけの飲食店などにも意見を求めるなどしたことで視野も広がったという。

 その結果、提案数は顧客で11万8890件、商品で10万8803件と、ともに目標の10万をクリアした。従来の顧客に合わなかった商品でも新規顧客になら販売できたり、従来の顧客に対応したものがなかった分野では新商品を開発するなどして5年間で約82億円の増収効果を生み出し、既製品の販売落ち込みなどをカバー。運動開始前と比べて売上高は約10億円増の約140億円となったという。

 しかし、挑戦は終わらなかった。

 ■ワンコイン→ダブルコイン運動へと発展

 ネクスタは24年7月、北海道洞爺湖町のホテルで創業100周年記念式典を開催。全社員が参加し、宿泊費や記念誌、記念品の製作費なども含めると約7300万円の経費がかかった。なんとか全員で穴埋めしようと24年10月~25年3月、1人当たり1日500円(500円硬貨1枚=ワンコイン)の経費削減につながる収益改善提案を求める「ワンコイン運動」を実施。単純合算で約8千万円、波及効果も含め1億円超の経費削減を達成した。

 さらに「ワンコインは経費を削り、損失を少なくするという“内向き”の思考。より効果のあるものを」(岡崎会長)と、1人当たり1日に千円(500円硬貨2枚=ダブルコイン)の売り上げ拡大や利益創出につながる提案活動「ダブルコイン運動」を今年1月から1年間の予定で展開中だ。

 ■トップが現場を基軸とした企業経営を

 ハードルは高くなったが、開発部の高橋弘司部長代理(56)は「これまでに実施したことや過去に出した商品などを関連づけて利益創出を考えるようになった」と思考の広がりを実感。入社4年目の総務部、北村あゆみさん(25)もチームリーダーを経験したことで「他の部署とも頻繁にやりとりして、商品知識や仕事の内容が向上した」と話す。

 これまでの成果では、家庭菜園用や台所・家庭用といった通販サイトを新設したほか、台所の流し台に置ける紙製の水切りごみ袋、遮光率約75%を実現した遮光ネットなどを商品化。「今後は、アイデアを磨き上げ商品などに結びつける能力を持つ人や部署を育てることに力を入れたい」と岡崎会長は先を見据える。

 関西経済同友会の提言は「経営者が現場を重視し、現場を基軸とした企業経営を決意し、決して現場を裏切らないという強い意志を持つことが重要」と、しめくくる。当たり前の文言のようにも聞こえるが、現場がおろそかにされてきた証左でもあるのだろう。(栗川喜典)

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2014.04.27|コメント(-)トラックバック(-)
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