愛知、岐阜両県で産婦人科を中心にクリニックを展開している医療法人葵鐘会(愛知県稲沢市)は20日、岐阜県の中津川市民病院と産科医の派遣契約を締結した。派遣期間は2015年4月から10年間。24時間365日、医師2人の体制を提供し、現在の分娩数の制限を解除するほか、里帰り分娩の受け入れを再開する。派遣契約料は年間1億2000万円。葵鐘会によると、民間の医療法人が産科の医師を派遣するのは日本初という。【大島迪子】
中津川市民病院によると、現在の産婦人科は常勤医2人、非常勤医4人。この体制になった12年10月以降、月の分娩数を30件に制限しており、里帰り分娩も受け入れていない。市内には民間の産科クリニックが1件しかなく、隣接する恵那市にも分娩できる医療施設はない。さらに、来年3月には同病院の常勤医のうち1人が定年退職予定という。
医師を派遣する葵鐘会は、「ベルクリニック」などの名称で12の産科クリニックや不妊治療センターを展開している。医師は労働者派遣法で派遣できないことになっているが、厚生労働省令で指定される「へき地」に限って医師派遣を認めており、中津川市はこのへき地に指定されている。