
■「極悪がんぼ」
フジテレビ、14日午後9時スタート
「正義の味方がいない。描かれるのは裏社会ばかり。これが『月9(げつく)』になるんだ、ってびっくりしましたね。たぶん、チャンネルを確認してしまうと思います」。フジ「月9」は多くのラブストーリーを生んだ放送枠。従来のイメージを裏切る企画に驚きつつ、挑戦を楽しんでいる。
演じる神崎薫(かおる)は、善意があだとなって多額の借金を背負わされ、カネをめぐってだまし合いが横行する裏社会に足を踏み入れる。三浦友和ふんする「経営コンサルタント」の金子をはじめ、共演陣は椎名桔平、竹内力(りき)、板尾創路(いつじ)…とアクの強い俳優ばかり。
持ち前の根性でどん底からはい上がる紅一点の役どころだが、「現場では全くマドンナ扱いをされていません」と笑って明かす。「私の性格のせいかもしれないけれど、『女優がいない男ばっかりの現場』って言われています。でも、みんな優しくて、和気あいあいとしていますよ」
では、こわもての竹内力さんも「素」は優しいんですか? と水を向けると「真実は知らない方がいいです」とニンマリ。リラックスして臨んでいるのは確かなようだ。
原作は累計168万部を売り上げた同名漫画で、「がんぼ」とは「乱暴者」「悪い奴」を意味する広島の方言。物語の舞台は架空の市だが、ドラマのせりふには広島弁が充満。
「『○○じゃけんのう』とか怖そうなイメージがあるけれど、その土地ではそれが普通。ドスをきかせた調子ではなく、サラっといいたい」
昨年の映画「そして父になる」をはじめ、出演作は国内外で数々の賞を引き寄せてきた。普段、道行く人々を観察するのが習慣になっているといい、「歩き方やご飯の食べ方、話し方、目線…いろんなところを見ています」。評価の高い演技力の礎は、市井の人々を見つめる“目の良さ”にあるのかもしれない。
一方、自身を「無趣味」と語り、「休日は寝て、食べて、特に何もしないんです」。最近、一番おいしかった食べ物を尋ねると、返ってきた答えは「コンビニのアメリカンドッグ」。飾り気のない照れた表情に、この人の魅力が凝縮されていた。
(三品貴志)
〈おの・まちこ〉昭和56年生まれ。奈良県出身。平成9年の映画「萌の朱雀」でデビュー。19年の「殯(もがり)の森」はカンヌ国際映画祭グランプリ獲得。昨年は同映画祭審査員賞を受けた「そして父になる」に出演。テレビではNHK「カーネーション」「外事警察」やフジ「最高の離婚」などに出演している。