■「若者たち2014」
フジテレビ、水曜午後10時
「今の若い奴って『自己主張がない』とか『冷めている』って言われるけど、そんなことはない。気づかなかったり、発散する場を持ってなかったりで、本当はみんな熱を持っているんです。『お前だってめちゃめちゃ熱いんだよ!』って、このドラマを見る若者たちに気づいてほしいですね」
ドラマは昭和41年に放送された「若者たち」の現代版。早くに両親を亡くした5人きょうだいで、親代わりを務めてきた長男、旭役を演じる。旭は、「愛があふれるバカ男。だけど、僕自身憧れる男」。作中で5人はそれぞれに悩みを抱え、衝突や和解を繰り返す。「みんなダメなところがあって衝突するけれど、だから支えられる。兄弟はきれいな間柄である必要はないと感じます」
オリジナルについての感想を尋ねると、「込められた熱気はすごいし、(主人公を演じた)田中邦衛さんの演技もすごい。けれど、今の時代が負けているとは思わない。俺は2014年の『若者たち』で勝ちたい」。出演を決めた理由について、演出を「北の国から」の杉田成道さんが務めていることを挙げた上で、「若者たちのふつふつとわき上がる熱や、思いを表現したかった」と語る。
家族の存在感が大きい作品だが、プライベートでも、多忙の中で時間を作っては家族と温泉旅行に行ったりするという。
「いい芝居をして賞をもらっても、人に褒められても、死ぬとき思い出すのはたぶんそういうことじゃなくて、家族なんだろうなと思います。そう考えると、生きがいみたいなものでもあるんでしょうね」
連続ドラマへの出演は5年ぶり。「テンポが速いし、休みがない。きついなと思いますが、(役柄の上で)僕が一番熱を発散していかないといけない」。そう意気込みつつも、役者としては自然体だ。「役に入っているときは、その人間になっちゃうタイプ。作品に一旦入ると何もなくなっちゃって、『毎日ジャージーでもいいや』みたいな気分になる」。そう笑って、自称「愛があふれるバカ男」=長男、旭の顔になった。(本間英士)
<つまぶき・さとし>昭和55年生まれ。福岡県出身。平成10年、ドラマ「すばらしい日々」(フジテレビ)で俳優デビュー。主な主演作に映画「ウォーターボーイズ」(13年)、「ジョゼと虎と魚たち」(15年)、大河ドラマ「天地人」(21年)など。8月公開のアニメ映画「STAND BY ME ドラえもん」では大人ののび太役の声を演じる。