
関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁判決について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は21日の定例会見で、「司法の判断について私から申し上げる必要はない。われわれの考え方で従来通り審査をしていく」と述べ、審査を継続する考えを示した。科学技術的な観点からの安全審査と司法判断とは別との見方だ。
規制委が策定した原発の新規制基準は、航空機テロなどあらゆる事態を想定し昨年7月に施行。当時、稼働していた大飯は「停止する影響が大きい」として、規制委は特別に事前確認を約2カ月間実施した。現地調査も行った上で「安全上重大な問題はない」と結論づけ、同年9月の定期検査まで運転継続を認めた。
現在行っている大飯の審査は、事前確認のときよりもさらに進展している。規制委の指摘により、関電は周辺3つの活断層の連動などを考慮し、申請時の基準地震動(想定される最大の揺れ)は700ガルから856ガルに修正。重大事故対策でも規制委側から指摘が相次ぎ、機器が壊れた際の要員の招集・対応ルールや、消火設備の位置、ケーブルの配置など、事細かに審査を進めている。
福井地裁判決は、「大飯でも1260ガルを超える地震が発生する可能性があり、冷却システムが崩壊する」と指摘するが、新基準では1つのシステムが壊れても多様・複数の機器で補完する多重防護を要求。原子力規制庁幹部は「科学技術的に見れば、格段に安全は強化されている」と話した。
規制委は現在、大飯を含む11原発18基について、新基準に基づく審査をしている。裁判所の判断にかかわらず、粛々と審査を続けることになるが、審査後の再稼働の判断は政府に委ねている。(原子力取材班)