
世界を舞台に活躍するジャズピアニスト、上原ひろみが最新アルバム「ALIVE」のリリースに先立ち、東京・銀座で新曲を披露した。「ALIVE」は、「ヴォイス」(2011年)「MOVE」(13年)に続くアンソニー・ジャクソン(b)、サイモン・フィリップス(ds)によるザ・トリオ・プロジェクトの最新作。「『生きる』という人生をテーマにさまざまなシーンを表現」した。スタジオ録音ながらライブの疾走感を出すことも意識した「A LIVE」の意味もかけているという。
上原はアルバム収録の2曲をソロで熱演。祈りのように優しく繊細な旋律が連なる1曲目の「ファイヤーフライ」について、上原は「本当に楽しい瞬間はあっという間に過ぎてしまう。モノクロから豊かな色彩になってまたモノクロに戻る感じ」と紹介。
続けてブルースの「スピリット」を披露。“黒っぽい演奏”に定評のある上原は「黒人の多い地域でのライブでは『スモーキン・ガール、ベイビー』と合いの手が入る」と話す。そのエピソードを再現するように“煙立つ熱気”を帯びたステージとなった。
演奏に先立ち、音楽誌「cast」の棚橋和博編集長をインタビュアーにトークセッションも行われ、アルバム製作の裏話などが明かされた。
新作の収録曲のほとんどは既に年末年始に行われたブルーノート東京でのライブで披露済みだが、難度の高い作品が揃う中、わずか3日のセッションでライブまでに仕上げたという。
上原は「(メンバーの)みんなを困らせてやろうと企みました」と冗談を飛ばしつつ、「ライブをするごとに曲が育つ。アルバム収録はライブをやってから入るのが理想」と“企み”の狙いを明かす。
当初は7拍子だった表題曲もライブ前に16分の27拍子という“とんでもない拍子”に変更。「サイモンが『もっと難しいことやろうよ』って。やってみたら“気持ち悪く”もあり、それから16分の27拍子の“生活”が始まりました。ライブではまだ“危うい”ところもあって…」と独特の表現で曲完成までの経緯を語った。
2月5日から3日間にわたりニューヨークのスタジオで行われた収録については「スタッフが心配するくらい、誰も休憩を取らなかった。トイレに行くのも走っていく感じ」と話し、「みんなが音楽に渇望してて、最高のトリオになっている」と手応えを感じた。
サイモンはTOTOを最近になって脱退。トーク・セッションで話題に上った際に「もっと(一緒に)できるのはうれしいこと」と答えた上原。「(TOTOを抜けて)一緒にやろうよ、とか言ったのですか」などと質問をかぶせられ、「違います」「関係ありません」「勘違いされては困る」と否定を繰り返し、笑いを誘う一幕もあった。
最新作「ALIVE」は、前作「MOVE」の全曲を収録したDVD「MOVE ライヴ・イン・トーキョー」とともに5月21日に発売予定。(産経デジタル)