
《同行者に気兼ねすることなく趣味を追求できる「趣味旅」や、自分へのご褒美に高級旅館に泊まったり、と単身で旅行に出かける女性が増えている。インターネットやスマートフォンのおかげで情報も手軽に入手できるし、ツイッターやフェイスブックがあれば旅行中もだれかとつながっていられる。旅行会社も一人旅プランを次々と発売している。とはいえ、女性の一人旅なので注意すべき点や、一人旅ならではの楽しみ方もある。専門家に聞いてみた。(木ノ下めぐみ)》
■スマホをお供に
JTB(東京都品川区)は昨年、“おひとりさま向け”の商品をラインナップしたパンフレットをリニューアルした。国内では伊勢神宮(三重県)や出雲大社(島根県)といったパワースポット、海外ではヨーロッパやアジアのリゾート地などが人気を集めているという。一昨年10月に同社がウェブ上で行ったアンケートでは、一人旅に出たいという願望を持つ女性が約5割に上っており「一人旅への需要の高まりを示しています」と同社。
HIS(東京都新宿区)でも一人旅のプランを数多く用意。単身旅行者のサポートを目的に、海外の150拠点に相談所も設けている。同社の担当者は「時間やお金に余裕のあるアラサー世代が、一人旅でリゾートなどを利用している動きが増えているのを窓口でも感じています。自分へのご褒美ですね」と話す。
旅行会社を通じてなら一人旅の初心者でも挑戦しやすいかもしれない。だが、寂しくないのだろうか。
「大丈夫、スマートフォンがありますから」
そう話すのは、バックパッカーとして世界中を回り、現在はライターとして活躍する山田静さん(48)。「一人で旅をしていても常に誰かに相談したり、他者とつながれるようになり、寂しさが減った」と分析する。
■情報漏洩対策は忘れずに
スマートフォンの普及で、「ツイッター」や「フェイスブック」といったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用者も増加。リアルタイムで思いや行動をインターネットで繋がる人たちに“つぶやく”ことができるようになった。1人だと特に寂しさを感じやすい食事の時間も、運ばれてきた食事の写真を投稿すれば、「いいね!」とすぐに返事が返ってきたりする。「SNSを使えば旅で深めた知識も共有しやすい」という。
だが、その一方で女性の一人旅は男性と比べ、危険が多いのも事実だ。国内外で旅行中の女性が被害に遭うケースは少なくない。
前述のスマートフォンの活用についても、利点ばかりではない。「つぶやき1つにも細心の注意が必要」と山田さん。つぶやいた内容から現在の居場所を特定される可能性があるほか、長期間家を空けていることを同時に知らせることにもなるため、自宅に空き巣に入られるおそれもあるという。山田さんは「フェイスブックは知人にだけ公開するなど、誰でも閲覧できる状況にしないといった対策を取るべきだ」と呼びかける。
【アラサーのつぶやき 取材を終えて】
「星のや京都」の取材で訪ねた嵐山。観光客でにぎわう景勝地をそぞろ歩きし、すっかり一人旅の寂しさに包まれた記者も思わず「嵐山は人が多い」とつぶやく。するとすぐに「いいね」と反応が。つぶやきながら納得の“一人旅”になりました。ただし、くれぐれも情報漏洩対策を忘れずに。
産経新聞大阪編集局では、選りすぐりのアラサー女性記者たちによって今の日本の「いいもの」「素敵なひと」を女子目線でレポートします。
【用語解説】アラサー・プラス
30歳前後を指すアラウンド・サーティー(around 30)と、そのお姉さん世代のこと
■木ノ下めぐみ(きのした・めぐみ)産経新聞大阪社会部記者。平成19年入社。津支局、大阪総局、神戸総局などを経て、現在は遊軍で企画を担当。娘の子育てに仕事、家事とてんてこまいの毎日。たまには自分も“非日常”な空間で、時を忘れてのんびり過ごしたいと思っている。