カンボジアで建設事業への投資が急伸している。同国の土地管理・都市計画・建設省によると、今年1~4月の国内外企業による同国の新規建設事業への投資額は合計14億ドル(約1428億円)に達した。前年同期の3億5000万ドルから4倍に急増している。現地紙プノンペン・ポストなどが報じた。
投資額が大幅に増加した背景には、同国の高度経済成長に対する期待感があると同省広報官は指摘する。世界銀行によると、同国の今年の国内総生産(GDP)成長率は7.2%の見通しだ。
また、昨年7月の総選挙の結果をめぐり与野党の対立が続き、必ずしも政情が安定しているとはいえないが、現在は落ち着いていることから、投資意欲を損ねていないとの見方を同広報官は示した。
地場不動産ブイトラスト・プロパティの調査によると、マンションなど集合住宅やオフィスビルへの投資が急増しており、今年1~4月には220棟の集合住宅の販売が開始され、さらに73棟が建設中という。経済発展に伴う所得上昇により、住宅の新規需要が高まっていることが背景にあるとしている。
また、同国を訪れる外国人旅行者の増加に伴い、ホテルやレストランなどの建設ラッシュも投資を呼び込んでいるもようだ。
一方、同国の建設事業への投資殺到に警鐘を鳴らす向きもある。地場ANZロイヤル銀行は、どの国も経済の先行きは不透明であり、成長著しい新興国に特有の建設ブームに踊らされることなく、需要動向を注意深く見守る必要があると指摘している。(シンガポール支局)