
【カイロ=大内清】エジプト大統領選で当選を決めたシーシー前国防相には今後、低迷する経済や、昨年7月のクーデターで排除されたモルシー前大統領の復権を唱えるイスラム原理主義組織ムスリム同胞団への対応といった問題がのしかかる。その中では、2011年に民衆デモで崩壊するまでのムバラク政権期を思わせる強権も発動されそうだ。
エジプトでは11年の政変以降のデモや衝突による混乱で主要産業である観光が大打撃を受け、回復の見通しは立っていない。そんな中、シーシー氏は今回の選挙戦で、観光を回復させるには、言論や集会などの自由を一定程度、制限してでもデモを抑制する必要があるとの考えを示してきた。
シーシー氏を実質的な最高実力者とする暫定政権は、昨年11月にデモ規制法を制定し、同胞団などのモルシー派だけでなく、若者中心の民主化グループのメンバーらを多数摘発。新政権のもとでは、この流れがさらに加速するとも予想される。
同胞団を今後どう扱うかも大きな課題だ。
同胞団はクーデター後、同胞団を「テロ組織」とみる治安当局の大量摘発や主流メディアによる批判キャンペーンで求心力が大きく低下した。ただ、正規メンバーだけで数十万人とされる同胞団はなお、潜在的にはエジプト最大の政治・社会組織であり、同国の中長期的な安定には政治プロセスへの取り込みが不可欠となる。
同胞団は暫定政権の正統性を認めておらず、今回の選挙もボイコットした。次期政権としては、こうした態度をとり続ける限り和解は難しいのが実情であり、当面は同胞団を屈服させるために圧力を強めながら、同胞団内の変化を促していく可能性が高い。