
「外れるのは、市川、カズ、三浦カズ、それから北沢…」
1998年6月2日。日本にとって初のワールドカップ(W杯)となるフランス大会に臨む直前、当時の岡田武史監督はこう言い放った。日本サッカー界の象徴ともいえる三浦知良(V川崎=以下、所属は当時)の落選。よもやの衝撃発言に耳を疑ったファンは少なくないだろう。
W杯イヤーのことし、そんな場面が再び繰り返されるのか。5日、国際親善試合のニュージーランド戦に4-2で快勝した日本代表。W杯ブラジル大会のメンバー発表前の最後の親善試合を終え、ここからはブラジルのピッチに立つメンバー23人の顔ぶれがどうなるかが焦点になる。
日本がW杯に出場するのは5度目。過去の歴史をひもといてみると、冒頭に挙げた「カズ落選」のほかにも、サプライズといえる意外な人選はあった。
2002年日韓大会は中村俊輔(横浜M)がメンバー漏れ。その年のJリーグで最優秀選手、得点王に輝いた高原直泰(磐田)もエコノミー症候群(肺動脈血栓塞栓症)で落選した。代わって代表入りしたのが、中山雅史(磐田)と秋田豊(鹿島)。代表から長く遠ざかっていた両ベテランの選出はある意味でサプライズだった。
06年ドイツ大会は何と言っても、ジーコ監督によるメンバー発表が思い出される。「ヤナギサーワ、タマーダ」に続き、最後に挙がった名前は「マキ」。その瞬間、報道陣から「おぉー!」というどよめきが沸き起こった。涙をのんだのは、有力視されていた久保竜彦(横浜M)だった。
4年前の南アフリカ大会では、ケガで公式戦に一度も出場機会がなかった川口能活(磐田)が4大会連続のメンバー入りを果たし、矢野貴章(新潟)とともにサプライズ選出された。本大会後にドイツ1部のドルトムントに渡る香川真司(C大阪)は選ばれず、サポートメンバーとして代表に帯同している。
さて、今回はどうなるのか。「今回呼んだ23人が自動的にブラジルに行けるわけではない。この先、選手たちがどこまでアピールするのか、どこまで伸びてくるのかを期待したい」。ザッケローニ監督はニュージーランド戦の前日にこう語った。主将の長谷部(ニュルンベルク)と内田(シャルケ)らレギュラーの約半数を欠いた中、前半にダブルボランチを組んだ山口(C大阪)と青山(広島)が攻守に奮闘。最終メンバーへの生き残りを懸けた競争心は、あおられたに違いない。
ザッケローニ監督が昨年末の時点で、リストアップしたとされる代表候補は63人。4月上旬には国内組を対象とした短期合宿が予定されている。開幕したばかりのJリーグで圧倒的なパフォーマンスを披露し、イタリア人指揮官のお眼鏡にかなう選手は出てくるか。これまでの人選を見る限りその気配は薄いものの、過去4大会は例外なくサプライズがあっただけにひょっとして…。(細井伸彦)